- 公表日:2025年10月31日
- 公開買付者:WHD株式会社
投資ファンドREVA株式会社が管理・助言・運用を行うファンドが支配権 - 対象者:ウェーブロックホールディングス株式会社
- 買付価格:1株あたり921円(公表前日の終値に対して約27~29%のプレミアム)
- 買付予定株数:上限は、約8,445,192株、下限は、約5,631,000株(所有割合66.67%)
- 公開買付期間:2025年11月4日~2025年12月16日(30営業日)。
- 公開買付代理人:みずほ証券(代理人)、楽天証券(復代理人)
概要
2025年10月31日、WHD株式会社はウェーブロックホールディングス(証券コード:7940)に対し、1株921円での公開買付(TOB)を決定・公表しました。公表資料は公開買付者(WHD)側と被買付会社(ウェーブロックHD)側の両方でリリースされています。ウェーブロックHDの取締役会は本TOBに賛同し、株主に応募を推奨する決議を出しています。
TOB条件
買付価格:921円/株(プレミアム率は報道により27〜29%の範囲で表現)。
買付予定数(最大):8,445,192株(下限は取得割合66.67%に相当する563万1,00株程度)。
買付代金(最大):約77.78億円(報道値)。
買付期間:2025/11/04〜2025/12/16(30営業日)、決済は2025/12/23の予定。
TOBの関係者
【公開買付者:WHD株式会社側】
- 公開買付者:WHD株式会社
- 公開買付親会社:ウェーブロックグループ株式会社
※REVA株式会社が運営管理するファンドがすべての支配権を所有
※本公開買付を通じて島田氏も0.2%の株式を所有する見通し - 公開買付代理人:みずほ証券
- フィナンシャルアドバイザリー:みずほ証券
- リーガルアドバイザー:長島・大野・常松法律事務所
【対象者:ウェーブロックホールディングス側】
- フィナンシャルアドバイザリー及び第三者価格算定機関:KPMG FAS
- リーガルアドバイザー:西村あさひ
TOBの背景
2025年10月31日の当社適時開示より、本件経緯と公開買付者と対象会社の本件への判断を整理します。
経緯
本件は、ウェーブロックホールディングスの島田康太郎氏執行役員(子会社のウェーブロック・アドバンスト・テクノロジーの代表取締役兼執行役員社長でもあります)と、投資ファンドREVAが連携して実施するTOBです。
本件の経緯として、対象外者のウェーブロックホールディングスが、2024年10月に今回のTOBとは全く異なる第三者から、買収の協議の提案をうけて、それに対して、特別委員会を中心に検討を実施している中で、本件の公開買付者の関連であるREVAとウェーブロックホールディングス執行役員の島田氏からの本公開買付の提案を受けたとのことです。
どのような会社によって買収提案をうけていたかは不明ですが、ウェーブロックホールディングスとしての企業価値向上を検討した際の最善手として、本公開買付側のREVAファンドと島田氏と進めることになったと読み取れます。
一方で、第三者からの買収提案のその後については、開示資料からは読み取ることができないため、すでに公開買付期間に入っている中(記事執筆時2025/11/7)で、株価がTOB価格921円より大幅に超過している状況が続いていることにも関係があるかもしれません。
※別の第三者によるTOBが始まるなど。
詳細な経緯と今後のスケジュールも含め、後述をしていますのでご参照ください。
公開買付者の事業理解
公式発表や取締役会の意見表明を見ると、ウェーブロックHD自身も経営の再編や中長期視点での改革を前提にTOBを歓迎する姿勢です。報道では、以下のような背景やREVAの狙いがあるようです。
事業の性質と成長余地
ウェーブロックHDはプラスチックシート・フィルム、防虫ネットなど建材・農業資材が主力。国内成熟市場依存で短期的には厳しいが、中長期で事業再編・投資を行えば収益改善の余地があるとの見方。
非公開化による柔軟な経営
株式を非公開化(上場廃止)して長期投資家(PEFや関連経営陣)主導で経営改革を進めやすくする狙い。ウェーブロックHD取締役会はTOB成立後の上場廃止を前提に賛同を決議しています。
資本・経営陣の再編
報道によれば、投資ファンドREVA(REVA傘下のWHD)が主体となり、執行役員の島田康太郎氏と連携して経営を主導する見込みとの言及もあります(報道ベース)。このような「資本+現場の経営体制」で再建を図るケースは典型的なプライベート化スキームです。
TOB価格と買付者の資金調達
TOB価格
プレミアム水準:公表前日の終値(報道で713〜724円の表記あり)に対して約27〜29%のプレミアム。
価格決定要因:通常は(1)被買付会社の直近業績・将来見通し、(2)類似案件の相場、(3)TOB成立に必要な持株比率(下限設定)等を勘案して決められます。今回も「上場廃止までを前提にした買付価格」として、一定のプレミアムを上乗せしたと見られます。
資金調達
本件買付代金は、公開買付届出書において約78億円です。
それに対して以下銀行と総額約82億円の借入の準備をすでに実施しているとのことです。
- みずほ銀行:約40億円
- 四国銀行:約25億円
- 福岡銀行:約8億円
- 名古屋銀行:約8億円
また、本件REVAの運営ファンドからの出資は、約50億円を予定しています。
本公開買付のこれまでと今後
これまでの経緯と今後の予定を現在開示されている範囲で整理します。
- 2024年10月下旬
ウェーブロックホールディングスと協業の可能性を模索する本件第三者によって、当社株式の取得に関して初期的な協議を開始したい打診をうける
ウェーブロックホールディングスは、当社と第三者から独立したリーバルアドバイザーとして西村あさひ法律事務所(以下、西村あさひ)を選任したうえで、社外取締役4名によって構成される特別委員会を設置し、経営課題への対応策や資本政策について検討 - 2025年3月9日
REVAファンド・島田氏からウェーブロックホールディングスに対して、本公開買付について初期的な相談を実施 - 2025年3月18日
ウェーブロックホールディングスは、西村あさひのに対して本公開買付についての法的助言を依頼。フィナンシャルアドバイザリー及び第三者算定機関としてKPMG FAS(以下、KPMG)を選定。本件について特別委員会での検討を開始。 - 2025年3月
- 2025年5月~7月
公開買付者らによるデューデリジェンスの実施や、ウェーブロックホールディングスによる公開買付者らに対するインタビューを実施 - 2025年9月26日
公開買付者らは、2026年3月期の配当がなされない前提で、公開買付価格を1株あたり770円の条件で提案(2025年9月25日対象株式終値731円) - 2025年10月3日
ウェーブロックホールディングスは、KPMGの算定価格も踏まえて、少数株主の利益ほぼに鑑み、より高い公開買付価格の提示を要請 - 2025年10月20日
公開買付者らは、2026年3月期の配当がなされない前提で、公開買付価格を1株あたり850円の条件で提案(2025年10月17日対象株式終値691円) - 2025年10月21日
ウェーブロックホールディングスは、KPMGの算定価格も踏まえて、少数株主の利益ほぼに鑑み、より高い公開買付価格の提示を要請 - 2025年10月23日
公開買付者らは、2026年3月期の配当がなされない前提で、公開買付価格を1株あたり910円の条件で提案(2025年10月22日対象株式終値716円) - 2025年10月23日
ウェーブロックホールディングスは、KPMGの算定価格も踏まえて、少数株主の利益ほぼに鑑み、より高い公開買付価格の提示を要請 - 2025年10月27日
ウェーブロックホールディングスは、23日の要請を再度実施するとともに、特別委員会の委員長である山木氏(ウェーブロックホールディングス社外取締役)は、REVAファンドとの面談を要請 - 2025年10月28日
REVAファンドとウェーブロックホールディングス特別委員会の山木委員長が面談。面談の中で、REVAファンドより、公開買付価格を917円とする提案を実施(2025年10月27日対象株式終値722円) - 2025年10月29日
ウェーブロックホールディングス特別委員会での協議を経て、さらなる公開買付価格の引き上げを要請 - 2025年10月30日
公開買付者らは、2026年3月期の配当がなされない前提で、公開買付価格を1株あたり921円の条件で提案(2025年10月29日対象株式終値709円)
ウェーブロックホールディングス特別委員会において、ウェーブロックホールディングス取締役会において承認されることを条件として、921円をTOB価格とするTOBに賛同するとともに、ウェーブロックホールディングスの株主に対して本TOBへの応募の推奨をすることを決定
最後に
すでに、公開買付期間となっており、株価はTOB価格921円を大きく上回る1,000円を超過している状況です(2025/11/6)。
別のTOB案件でも見られるように、別の投資ファンドがさらに高い価格での公開買付の実施を表明したり、本件の契機ととなったとも読み取れる別の第三者からの初期的な買収協議の提案がここにきて再浮上するなど、本件スムーズに着地しない可能性のある要素がいくつかあると読み取れます。
今後、案件に動きが見られる状況になれば改めてご紹介いたします。

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