2025年11月4日、REVA株式会社が実質的な買い手となるWHD株式会社が、東証スタンダード上場のウェーブロックホールディングス株式会社(証券コード:7940)に対して公開買付けを開始した。買付価格は1株921円、最大買収総額は約77.8億円。対象会社取締役会は賛同意見を表明し、株主への応募を推奨している。
公開買付者のWHDは2025年7月に設立された買収目的会社で、親会社ウェーブロックグループ株式会社を通じてREVAファンドが実質支配する。REVAは2021年設立のバイアウト投資会社で、住友商事と共同で「中堅・中小企業DXバリューアップ・コンソーシアム」を運営し、ものづくり企業の経営改革とDX推進を強みとする。
対象会社のウェーブロックホールディングスは1964年創業。建設・農業・食品包材向け合成樹脂製品を扱うマテリアルソリューション事業と、自動車外装向け金属調加飾フィルムを製造するアドバンストテクノロジー事業の2本柱で、グループ15社・従業員600名超を擁する。
なぜREVAはこのTOBを実施するのか。目的は対象会社株式の100%取得による完全子会社化・非公開化だ。REVAは、ものづくり現場への深い知見とDX支援のネットワークを対象会社に注入することで、単独では実現し得ない成長が可能と判断した。具体的には、自動車業界での人脈を活かした金属調加飾フィルム事業の顧客開拓、機械学習を用いた不良率改善と在庫適正化、大手ITベンダーとのDX連携による製造工程高度化、経営戦略策定支援の4点を想定している。
なぜ完全子会社化・非公開化が必要なのか。これらの経営改革は実行初期に先行コストが発生し、短期的には業績悪化・キャッシュフロー悪化を招くリスクがある。上場を維持したまま実行すれば株価下落を招き既存株主が短期的に不利益を被る可能性がある。株式市場の短期評価にとらわれない経営判断を可能とするためにも、非公開化が不可欠とREVAは判断した。
対象会社がTOBに賛同する理由も、外部環境の厳しさに尽きる。マテリアルソリューション事業は建設・農業資材等の国内成熟市場に依存しており、日本の人口減少が続く限り市場縮小は避けられない。加えて、海外からの廉価品流入による価格競争の激化、2023年以降のナフサ価格高騰による原価率上昇、主要原材料メーカーの業界再編による価格交渉力低下が収益性を圧迫している。こうした構造的課題を解決するための事業改革には踏み込んだ先行投資が必要であり、上場を維持したままでは機動的な意思決定が難しいと対象会社自身も判断した。REVAという専門パートナーと組んだ非公開化が、企業価値向上の最善策との結論に至ったものだ。
買付価格921円は公表前日終値724円に対して27.21%のプレミアム。初回提案770円から特別委員会を通じた4回の交渉を経て最終合意に至り、当初比19.6%引き上げられた。KPMGによるDCF法算定の中央値845円を約9%上回る水準だ。資金調達はREVAファンド等による約50億円のエクイティと、みずほ銀行・四国銀行・名古屋銀行・福岡銀行4行からのLBO融資計81.8億円で賄われる。
対象会社は社外取締役4名による独立した特別委員会を設置し、計31回の審議を経て「賛同・応募推奨が妥当」と全員一致で答申した。独禁法の事前審査はすでに通過済み(2025年8月5日)。TOB期間は2025年12月16日まで。成立後はスクイーズアウト手続きを経て上場廃止となり、その後公開買付者を存続会社とする吸収合併が予定されている。
| 当事者・アドバイザー | |
| 公開買付者 | WHD株式会社(実質:REVA株式会社) |
| 対象会社 | ウェーブロックホールディングス株式会社(東証STD・7940) |
| 買い手 FA | みずほ証券株式会社 |
| 売り手 FA/第三者算定機関 | 株式会社KPMG FAS |
| 買い手リーガル | 長島・大野・常松法律事務所 |
| 売り手リーガル | 西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 |
| 買付条件 | |
| 買付価格(1株) | 921円 |
| 買収総額(概算) | 約77.8億円 |
| プレミアム(前日終値比) | 27.21%(終値 724円) |
| プレミアム(1ヶ月平均比) | 30.82%(平均 704円) |
| プレミアム(3ヶ月平均比) | 30.64%(平均 705円) |
| プレミアム(6ヶ月平均比) | 42.35%(平均 647円) |
| 公開買付期間 | 2025年11月4日〜12月16日(30営業日) |
| 決済開始日 | 2025年12月23日(火) |
| 株式情報 | |
| 発行済株式総数 | 11,120,538株 |
| 買付対象株式数 | 8,445,192株(自己株式控除後) |
| 買付予定数(下限) | 5,630,100株(所有割合 66.67%) |
| 買付予定数(上限) | 設定なし(全株取得目的) |
| MoM条件 | あり(充足) |
| 資金調達 | |
| エクイティ出資 | 4,991百万円上限(REVAファンド等) |
| 借入合計 | 8,184百万円(4行タームローン・2030年12月期限) |
| 借入内訳 | みずほ銀行 4,092百万円 / 四国銀行 2,456百万円 / 名古屋銀行 818百万円 / 福岡銀行 818百万円 |
| その他 | |
| 株価算定レンジ(市場株価法) | 647円〜724円(KPMG FAS) |
| 株価算定レンジ(DCF法) | 681円〜1,008円(KPMG FAS) |
| フェアネスオピニオン | なし |
| 対象会社取締役会意見 | 賛同・応募推奨(全員一致) |
| 独禁法許認可 | 取得済(2025年8月5日) |
| TOB後の予定 | スクイーズアウト → 上場廃止 → 吸収合併(日程未定) |
| 取引スキーム類型 | |
| 類型 | PEファンドによる完全子会社化(テイクプライベート) |
| MBO該当 | 非該当(島田氏は令第6条の2第1項第13号の役員に非該当) |
| 対象会社情報 | |
| 事業内容 | ①マテリアルソリューション事業:建設・農業・食品包材・日用品向け合成樹脂製品(シート・フィルム・メッシュ・ネット等) ②アドバンストテクノロジー事業:自動車外装向け金属調加飾フィルム・高透明二層シート・開封テープ等 |
| 直近売上高 | 255.7億円(2025年3月期・連結) |
| 直近経常利益 | 6.97億円(2025年3月期・連結) |
| 直近当期純利益 | 5.21億円(2025年3月期・連結) |
| 直近総資産 | 291.9億円(2025年3月期・連結) |
| 直近純資産 | 167.0億円(2025年3月期・連結) |
| PER(買付価格ベース) | 約14.9倍(921円 ÷ 直近EPS 61.70円) |
| PBR(買付価格ベース) | 約0.46倍(921円 ÷ 1株純資産 1,990円) |
| 上場経緯 | 1996年12月 東証二部上場 → 2009年7月 TOBにより一旦上場廃止 → 2017年4月 東証二部に再上場 → 2022年4月 東証スタンダード市場へ移行(今回が2度目の非公開化) |

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